正義は安い 俺達は上等
2016年1月18日、午後10時
SMAPのマネージャーであった女性社員がジャニーズ事務所からの退職を表明し、木村拓哉を除く4名のメンバーがマネージャーに追随して脱退すると、そして木村はジャニーズ事務所に残ると、そんな一連の報道を受けての出来事だった。
元来わたしは自担史上主義で、DDに片足を突っ込んではいるもののSMAPにはほとんど興味はない。今回の報道にも言及する予定はなかった。
ただそれは、一連の報道が“対岸の火事”であったから故である。
俗に言うジャニーズ事務所の派閥問題は近頃週刊誌で取り沙汰されるほどの問題に発展し、とても見苦しいものだった。
昨年末から今年の元旦にかけて放送されたジャニーズカウントダウンライブの中継で行われた"夢のコンビ"ランキングは、普段は派閥の問題で叶わないコンビが上位を獲得し、2位の大倉忠義×北山宏光コンビや3位の松本潤×河合郁人などグループだけではなく派閥すら飛び越えたスペシャルな演出に「たまには事務所もやるな」なんて感嘆の声や「フジテレビが全力でジャニヲタに媚売に来たw」だなんて声も多く聞かれた。
派閥問題というものは、既に身内だけの問題ではなく、ジャニーズにそれほど興味の無い層にまで知られてしまう事務所の醜態となっていた。
繰り返すが、わたしはSMAPに興味はない。
わたしはあくまでも関西方面をメインとして活動している若手のヲタクで、彼らの多くは俗に「藤島派」と呼ばれる部類に属す。
わたしが彼らを好きになったのはジャニーズだからではあるけれど、断じて藤島派だからではない。ただ、好きになった彼らは皆、たまたま社長の姪であるその方がプロデュースするグループだった、というだけである。
またその事実があるからと言って、かの女性社員率いる派閥に属するアイドルが嫌いな訳では無いし、率直に言ってかなり好きなアイドルもいる。
ただわたしは、自担と、自担グループと、彼らが属す事務所と、彼らを率いてくれる“会社の人たち”に誇りを持っていて、それが最高だと信じてお金を払っている。
彼らが歩む道と歩んできた過去に誇りを持っていて、その道を創ってくれた方に敬意を払っている。
だから私は我慢ができない。
SMAPのファンが、私の誇るものを貶すことを
ジャニーズをよく知らないであろう一般人が、私が大事にしてるものを悪と決めつけることを
その方たちが仰っていたことは、もしかしたら事実なのかもしれない。
昨夜のSMAP×SMAPでの会見も、該当担からすると安心のできない、しこりが残る会見だったのかもしれない。
自担がアイドルではなくなるかもしれない
そんな恐怖を私は知っている。大好きだった担当を退所という形で失った。喪失感はかなりのものだった。
だからと言って、冷たく当たったり他を詰ったり、そんなことが許されるわけではない。
きっと私が“そんな恐怖を知っている”ということ自体快く思わない方もいるだろう。だが私にはそれが解せない。
SMAPは国民的アイドルで、他は違う
だから同列に語るな
そんな内心が透け見えるのだ。
今まで後輩との絡みなんてなかったから、懐いてくれるキスマイが可愛くて仕方ないのよね
彼女達はジャニヲタではないのだ。だからきっと、スタジアムライブで青春アミーゴが流れても踊れないし、アリーナツアーで自担がLOVE YOU ONLYを熱唱しても「おんりーゆー!!」と叫べないのだ。
それは他のグループが自担グループと同列に語られるべき存在ではないと、心のどこかで思っているからだと思う。
なぜこんな偉そうな口を聞くのかと言うと、わたしがかつてそうだったからだ。
何が言いたいかと言うと、要は彼女達は他のグループのことなんて、ミジンコも知らないのだ。知る気もないのだ。それなのに自担グループより格下で面白くないと決めつけ、格下だと執拗に何重にもレッテルを貼るのだ。それによって傷つく人がいることには目を向けずに。自分が正義の顔をして。
今回の1件、確かにSMAPのファンの皆様にはとても辛いことで、また解決の糸口すらまだ見えず、その心中は図りかねる。余裕がないのもわかる。
だが、仮にも同じ事務所の看板を背負っているグループである。
「あいつがいるからSMAPがこんな目に合ったんだ」
「あいつさえいなければ穏便に済んだ」
「あいつが管轄してるグループなんてろくなもんじゃない」
「SMAPを超えられるわけないんだから大人しく女性社員に椅子を譲れ」
そこまで言う前に、もう少し考えて欲しい。
わたしたちが自担同様にアイドルという道を押し広げてくれたSMAPに感謝してジャニーズに夢を見ているという現実だって確かにあることを思い出してほしい。
個人的な話だが、私がジャニーズの沼に足を突っ込んでからはまだまだ両手で数えられるほどである。そんな小娘がインターネットの波でとやかく言ってることに影響力なんぞ特段ないことも承知である。ジャニーズの大半のタレントは私より遥かに年上で、そのファンの方々も私より遥かに年上で、小娘は小娘らしくおとなしくしてた方が身のためなのも分かっている。
だけど私は心底この事務所が好きで、対応がクズだろうと経営がカスだろうと担当が辞めようと、どうしても離れられなくて、辞めようと思ってもどうしても辞められないのだ。
「これ(事務所)こそが格子なき牢獄である」
そんなことを仰っていた方がいた。
牢獄から抜け出せない私もたぶん囚人で、囚人仲間と喧嘩しながらも成長しあい、その中で新しい仲間に出会い、また仲間を失い、脱獄に失敗し、それでもいつか脱獄できることを夢見て、だけど本当はシャバのほうがよっぽど地獄で、狂った看守長の元で今日もボイラー室を修理するしかないただの無能で……
だが、わたしはそんな日々が案外嫌いじゃない。少年たち、特に2015年日生版は胸に重く残る暗いものだった。それでも少年たちは前を向いて生きていた。日々を愛していた。仲間を大切にしていた。
ジャニヲタ仲良しこよしが叶うとは流石に思っていない。だが、少し視野を広げることで見えるようになる世界はあると思う。それが善か悪かは、また問題に直面してから考えればいいことだ。
だって、所詮ファンなんだから。
うちわを左手にペンラを右手に、私は今日も所詮ファンを全力で全うしたい。