担当が夢を叶えて美容師になるらしい。
私には夢があった。
2015年3月31日、突如として姿を消した担当がいつか夢を叶えて、その世界で地位を得て再び成長した彼に、例えば話が面白い美容師として有名になるだとか、イケメン敏腕美容師として特集が組まれるだとか、そんな風に出会えることを夢見ていた。
彼が美容師になりたがっていたのは知っていたし、事務所を去ったと聞いて夢を追うことに決めたんだろう、と思って苦くも彼の応援を口に出すのを自分へ禁じた。
しかし癖だったエゴサーチはやめることが出来ず、彼が事務所から去って通うようになった専門学校もすぐに周知の事実となってしまったことを知った。
それと同時に専門学校で優秀な成績を修めていることも、相変わらず綺麗な顔をしていることも、どの街によく出現するかも、情報社会の現代日本ではわざわざサーチせずとも得られた情報だった。
その恩恵にあやかりながらも、やはり少し苦々しい気持ちを隠せずにはいた。
彼が事務所を去ったのは、《1から》実力で、色眼鏡なしに評価されたかったからではないのか?という気持ちがずっとあって、悪くいうつもりは無いが現に関西Jrの中にも学業と両立してアイドルを続けるタレントもいるわけだ。
それでも大阪から離れた土地でアイドルであった自分を切り捨ててまでして手に入れたかった“普通の美容学生”像がきっと彼にはあったのだと思う。
だから盗撮や彼のプライベートな写真が出回り、彼の本名をフルネームでTwitterに載せているオタクが我が物顔で彼のことを語り、それらのことがずっと嫌いだった。
彼が事務所を去って手に入れたかったのは、きっと詮索されないことだったのではないかな、とどうしても思ってしまうのだ。
なぜなら、もし私が彼なら、ファンのことが嫌いだっただろうと思うからだ。
彼は真面目で努力家で一直線だなあと感じてきた。
だから好きだった。
もし彼が私の思う通りの人間だとしたら(そんなことはありえないけど、)詮索される現状が憎いと思うだろうな、なんて思う。
…なんて思ってたらこれだよ!(笑)
ジャニーズカウントダウンを見ながらTwitterを追って、なんて年明けを過ごしていた私は、突然そのアカウントの存在を知った。
最初はまた偽物でしょ、と思ったけど、0時ぴったりに投稿をする律儀さや、まず謝罪から入る丁寧さ、そして改行の多い読みやすい文章の組み立て。
ああ、彼が帰ってきたんだ、と思った。
そして申し訳ないが、そんな彼に「待ってた」だの「謝らないで」だのリプライを送る、若い層のファンに反吐が出るような気持ちを抱いた。
あまり大声で言うことでもないが、私は彼のファンだった頃それはそれは痛いヲタクだった、と今では思う。
同担の存在は許容し、彼よりも年上の同担には懐く一方で、彼の年下のファンはどうしても受け入れられなかった。
ツイートを見るだけで気持ち悪くて仕方なかった。
彼のことを壁だと茶化す人も嫌いだった。
彼がいなくなり、同担拒否なんて言葉も私には無関係だなあなんて思っていたが、彼が帰ってきたらやっぱりダメだった。
彼へリプライを送る中の、一体どれ位の数が当時彼のファンだったのだろう?
きっと過半数は彼を一番に応援してなかったと思うのだ。
だから、平たく言って心底ムカつく。
待ってたよとか謝らないでとか、そんな薄っぺらい言葉を彼のファンの代表ヅラして語るな。
少なくとも私は待ってなかった。待ってなかったと言うと嘘だけど、彼を再びタレントのように祭り上げるような、そんなコンテンツは求めてなかった。ただの敏腕美容師として彼の消息を知りたかったし、ただの敏腕美容師である彼のアカウントを見つけたかった。ファンでもなかった子供からの、まるで彼がアイドルかのような言葉を何千と受け取るような再会はしたくなかった。
そしてわたしは、やっぱり形式上で構わないから謝って欲しかった。素敵な卒業式のようなコンサートを公演して、綺麗な最後をアイドルとして遂げて、それでいてもやはり再び彼が私たちの前に姿を現すとしたら、ごめんなさいと言って欲しかった。
それは謝罪の言葉を求めていたのではなく、それが彼と彼のファンだった者達との礼儀だと思うから。
だから、彼のごめんに返すべき言葉はきっと「ありがとう」なんだと思う。
あなたの時間をくれてありがとう、夢を見させてくれてありがとう。
あの時間のことは忘れてないよ。
そんな風に“仲直り” になると思う。
わたしは彼が謝ってくれて嬉しかった。
彼がアイドル出会った時間が無駄じゃないと、肯定された気がしたから。
わたしの青春にも意味があったと認めてもらえた気がしたから。
だけどそれでも色々言ってもやっぱり、結局、人生で一番好きだった人の姿を再び見ることが出来て、本当に本当に嬉しいんだ。
元気でいてくれるだけでもよかったのに、なおかつ夢まで叶えちゃってさ、顔もかっこよくてさ、これ以上望むことないくらいに幸せな年明けを迎えられたこともまた事実なんだ。
また私たちの前に姿を見せてくれてありがとう。
ちょっと柄にもなくまともなこと言ったので疲れたんですが一つだけ言わせてもらっていいですか?
0時ぴったりにツイート投稿するのめちゃくちゃかわいくない???「3、2、1、」って0時ぴったりにツイートボタン押したと思うと律儀というかなんというか、あの、可愛すぎませんか????やっぱり律儀で真面目で努力家で一直線で融通聞かなくて男前で顔も男前で本当に本当に本当に本当に最高の男だなと思うんですが如何でしょう、異論はもちろん認めません。願わくば彼の就職先が若いヲタクどころか大人でも滅多に行けないレベルの高級サロンでありますように。わたしはもし彼がそうなってもいいように自分磨いてきたので無問題です。自担に綺麗にしてもらえるとかシャンプー10000円でも全然払いますよ!!!!!!!!もちろん知らん顔して彼のこと初対面ですみたいな顔してサロン行くよ!!!!!!???
こんな2017年の幕開けを迎えて、わたしには新しい夢がある。
いつか、彼、金内柊真くんが有名な美容師になって、自分のサロンを持つことになるとしたら、その時代に立ち会うことだ。
わたしは金内くんと同い年だから、一足先に夢を叶えようとしている彼を追いかけて、私の夢も叶えてみせる。
願わくば、彼にとって金内担がいたことという事実がいつか彼の糧となりますよう。